雪解けの少し前、
まだ空気が固いままの地面から、
小さく白い花が顔を出すことがあります。
スノードロップは”春を告げる花”と言われながら、決して高く顔を上げない奥ゆかしさがあります。
今回の新作 D×スノードロップ は、
その「下を向いたまま咲く姿」に、
ある種の誠実さを感じたことから生まれました。
目次
Dという文字がもつ、内側へのカーブ
Dは、外へ張り出す文字でありながら、
内側に大きな弧を抱えています。
まっすぐ進む直線と、
抱え込むような曲線。
その両方を同時に持つのがDです。
今回描いたDは、
勢いよりも“内側の深さ”を意識した線。
前に進む前に、
いったん自分の中へ戻るような動きを大切にしました。
スノードロップという花について
スノードロップは、
雪の中から最初に姿を見せる花のひとつ。
けれどその花は、誇らしげに上を向くことはありません。
細い茎の先で、小さな白を静かに垂らしています。
強さを示すのではなく、ただ「咲く時が来たから咲く」。
その態度に、流れに身を委ねつつも静かで揺るぎない芯を感じました。
D×スノードロップ|組み合わせの理由
Dの曲線が描く“内側への動き”と、スノードロップのうつむく姿。
どちらも、外へ向かって主張する形ではありません。
一度、自分の中に沈み、そこで整えてから次の一歩へ向かう。
この作品では、
「立ち止まることも前進の一部」
という感覚を形にしました。
制作メモ|線を引くときに意識したこと

Dの線は、太さを揃えすぎないようにしました。
均一にすると、意味が固定されてしまう気がしたからです。
少しだけ揺らぎを残し、花の白が呼吸できる余地をつくる。
スノードロップの存在感が線に押されないよう、距離感を大切にしています。
この作品がそっと寄り添う場面
- 考えすぎて動けなくなったとき
- 答えを急がなくていいとき
- 静かに自分を整えたいとき
D×スノードロップは、背中を押すための作品ではありません。
”自らの足元を確かめるため”の一枚として、
そっと”そこに在る”ことを意図しています。
おわりに|下を向く時間も、進んでいる
スノードロップは、下を向いたまま春を知らせます。
Dの線もまた、内側へ弧を描きながら、次のはじまりを準備しているかのようです。
この作品が、
「今はまだ動かなくていい。ただ神聖なるタイミングに委ねるだけ」
そんな感覚を肯定できる存在であれば嬉しいです。













