人は、ひとつの色だけでできているわけではありません。
明るい自分。
静かな自分。
迷う自分。
強い自分。
やさしい自分。
まだ言葉にならない自分。
そのすべてが重なって、今の自分をつくっているのだと思います。
今回描いたのは、ユーカリ。
シンプルでありながらしなやかで、どこか芯のある植物です。
背景には、水彩をベースに置き、その上からアクリル絵の具をインスピレーションのままに重ねました。
多色使いの抽象的な背景は、まるで虹のように、いくつもの光が重なり合っているようです。
この作品のテーマは、「自分らしさ」と「ありのままの自分」。
多面的であることそのものを肯定するような、ユニークな光を込めた一枚になりました。
今回の作品

今回の作品では、ユーカリをシンプルに、けれど力強く描きました。
ユーカリは、派手に咲き誇る花とは違い、葉のかたちや茎の流れに静かな美しさがあります。
すっと伸びる姿には凛とした強さがありながら、葉の重なりや動きには、やわらかなしなやかさも感じられます。
背景は、水彩をベースにした上から、アクリル絵の具を抽象画風に重ねています。
色を計画しすぎず、
その瞬間に浮かんだ感覚のままに置いていく。
そうして生まれた背景は、ひとつの色におさまらない、自由で多面的な光のようになりました。
このボタニカルアートについて
この作品では、ユーカリのシンプルで力強い佇まいと、多色の抽象背景に重ねた光を通して、「ありのままの自分でいること」の美しさを表現しました。
ユーカリは、華やかに主張するというよりも、静かにそこに立つことで存在感を放つ植物です。
その姿には、飾りすぎない強さや、自然体でいることの心地よさを感じます。
多色の重なりは、ひとりの人の中にあるさまざまな表情や感情のようでもあり、虹のように多種多様な光が広がっていくようでもあります。
ユーカリそのものはシンプルに描きながら、背景には自由な動きと色の重なりを持たせました。
その対比によって、内側にある多面性と、それを受けとめるしなやかな軸のようなものを表現しています。
見る人が、自分の中にあるいろいろな面を”見留め”ながら、
「そのすべてが私なんだ」と少しやさしく受け止められるように。
そんな想いを込めたボタニカルアートです。
この作品のテーマ
今回のテーマは、「自分らしさ」と「ありのままの自分」です。
自分らしさというと、
何かひとつの個性や、はっきりした答えを見つけることのように感じることがあります。
でも、本当の自分らしさは、もっと複雑で、多層で、無限に広がるものなのかもしれません。
元気な日もある。
静かに過ごしたい日もある。
誰かと話したい時もあれば、ひとりでいたい時もある。
強くいられる時もあれば、弱さを感じる時もある。
そのどれかひとつだけが本当の自分なのではなく、
いろいろな面が重なり合って、”わたし”を成している。
描いている時、私はそんな感覚を強く感じていました。
どんな人も多面的で、その多面性そのものが”自分”である。
この作品には、そんなメッセージを込めています。
モチーフに込めた意味
ユーカリは、すっきりとした葉の姿が印象的な植物です。
丸みを帯びた葉や、しなやかに伸びる茎には、力みすぎない美しさがあります。
強い主張をしなくても、そこにあるだけで空間の空気を変えてくれるような、静かな存在感を持っています。
今回、このユーカリを描く時に大切にしたのは、
『シンプルさの中にある力強さ』です。
たくさん描き込みすぎるのではなく、
必要な線と色で、ユーカリの持つ自然な強さを表現したいと思いました。
と同時に、葉や茎の流れには、しなやかさも意識しています。
まっすぐでありながら硬すぎない。
シンプルでありながら、冷たくならない。
その姿は、ありのままの自分で立つことにも似ているように感じました。
誰かに合わせて形を変えすぎるのではなく、
でも頑なになるのでもなく、
自分の軸を持ちながら、自然にそこにいる。
ユーカリには、そんな静かな強さを感じます。
色彩と背景に込めた光

この作品の光のイメージは、
虹のような多種多様な光です。
虹は、ひとつの色ではできていません。
いくつもの色が並び、それぞれの色があるからこそ、美しい光として見えます。
今回の背景も、その感覚に近いものがあります。
水彩のやわらかなにじみを土台にしながら、
その上からアクリル絵の具をインスピレーションのままに重ねました。
最初からきっちり完成形を決めるのではなく、
色を置きながら、その時に感じる流れに任せていくような制作でした。
水彩のにじみは、やわらかく広がる感情のよう。
アクリル絵の具の重なりは、そこに加わる個性や意思のよう。
やわらかさと強さ。
偶然と意図。
静けさと動き。
そのいくつもの要素が重なった背景には、
ひとりの人の中にあるさまざまな表情や感情を感じます。
明るさだけではなく、静けさや迷い、強さや弱さ、自由さや繊細さ。
そのすべてをひとつの色にまとめようとしなくていい。
違う色があるからこそ、自分という存在に奥行きが生まれる。
多色の背景は、見る角度や、その時の心の状態によって印象が少しずつ変わるようにも感じます。
それはまるで、人の内側にある多面性のようです。
いつも同じ自分でいなくてもいい。
ひとつの色に決めなくてもいい。
変化しながら、揺れながら、それでも自分でいていい。
そんな虹のような多種多様な光のイメージを、この背景に込めています。
制作中に感じたこと
明るい面だけが自分ではなく、
静かな面だけが自分でもなく、
うまく言葉にできない複雑な感覚も、全部自分の一部。
背景に色を重ねている時、
そのことがとても自然に感じられました。
一色だけでは完成しない。
同じ色だけでは出せない奥行きがある。
偶然重なった色が、思いがけず美しい表情になることがある。
それは、人の心にも似ていると思います。
自分の中にいろいろな面があることは、まとまりがないことではなく、
むしろ”豊かさ”なのかもしれません。
ユーカリをしなやかに描いていく時間には、
その多面性をまるごと受け止めながら、自分の軸へ戻っていくような感覚がありました。
この作品が寄り添う人・場面
この作品は、自分らしさについて考えている時や、
ありのままの自分を受け入れたい時に寄り添う一枚です。
たとえば、
自分の個性がよく分からなくなった時。
いろいろな面を持つ自分に戸惑う時。
誰かの期待に合わせすぎて、少し疲れてしまった時。
もっと自然体でいたいと感じる時。
そんな場面で、このユーカリの光は、
「ひとつに決めなくてもいい」とそっと伝えてくれるように感じます。
多面的であることは、弱さではなく、『豊かさ』である。
変化することも、揺れることも、自分らしさの一部です。
お部屋に飾るなら、作業机やアトリエ、日々の自分に戻る場所にも合いそうです。
ふと目に入った時に、少し肩の力が抜けて、
「私は私のままでいい」と思い出せるような作品になってくれたら嬉しいです。
おわりに
シンプルに描いたユーカリ。
多色の背景に宿る、虹のような光。
そのすべてが重なって、今回の作品は
「自分らしさ」と「ありのままの自分」というテーマにたどり着きました。
いろいろな面があるから深みが生まれ、
揺らぎによって自分の輪郭を知り、
自然と変化するからこそ、少しずつ育っていく。
このユーカリの光が、見る人の心にそっと届き、
自分だけのカラフルな光を、やさしく抱きしめるきっかけになってくれたら嬉しいです。





